「緊急でなくて重要なこと」が重要だという話
投稿日:May 29, 2021 (土)ホームページのリニューアル
エンジニアとして働き始める 3 年くらい前のまだ大学院生だった頃に、ポートフォリオサイトを作りたいと思い Hugo の SSG で作成していた。ポートフォリオとしての役割よりも、当時留学中だったということと、時間もたくさんあって、年間 100 冊弱くらいのペースで本を読んでいたということもあり、そういうのを通じて考えた色々なことを、自分の頭の整理のためや身の回りの少しの友人に見てもらうためにまとめる雑記ブログ的な役割で、更新していた。
それ以来、更新したりしなかったりで、しばらく放置気味になっており、当時よく分からずに作ったせいでメンテナンスや更新が少ししづらくなっていることに対するもやもやも募るようになり、元のサイトをどうにかしたいなあと思っていた。が、今更当時のようにバリバリと雑記的なに書くことも、読む人もそんなにないだろうと思って、面倒がってやはり放置していた。
そんなときに、この記事を書く 1 週間くらい前に、大学時代に創業に関わった前に勤めていた会社の、その創業前の時期に学生として一緒に色々やっていた後輩から突然 LINE が来た。
「お久しぶりです!いま先輩のブログ新しいのから遡って読ませて頂いてるんですけど、この文章めっちゃ好きです笑 ... メモアプリにいろいろ考えてメモしてしまうくらいです」
ということだった。
何年も前に書いた内容を今頃読まれるのも少し気恥ずかしい感じもしたけれど、当時のそういう文章をたくさん書いていた頃のテンションみたいなものが、その文章自体を証拠として残っているのは面白いし、ありがたいことに楽しく読んでくれたということで、ホームページのリニューアルのために重かった腰を上げることにした。彼はたしか私の 3 つ下(在籍時期はかぶっていないけれど出身高校も一緒だったから、勝手にかわいい後輩だと思っている)で、ちょうど国家試験とか就活とか、そういう進路について考える時期でもあるから、当時の色々考えて色々アウトプットしていた私のその高めのテンションにも面白いと思ってくれたのかもしれない。
というわけで、この週末の 2 日間で、ちょうど仕事で触り始めた Nuxt.js を使って、その SSG (Nuxt Content) とマークアップは Tailwind CSS で使って、イチから作成することにした。見た目を楽しく装飾するセンスにはそれほど自信はないのと、なるべく更新やメンテナンスが面倒にならないようにすることを意識して、さくっとシンプルにリニューアルした。
これからはこのサイトでは、以前のような雑記ブログを時々書きつつ、エンジニアとして学んだ知見や、ちょっとしたメモとしての技術記事を主に更新しようと思っている。気が向いたらポートフォリオやレジュメになるようなページを作っても良いけれど、もう少し先にしようと思う。
「緊急でなくて重要なこと」が重要
ということで、今回の雑記ブログに書くテーマが、この記事のタイトルの通り「『緊急でなくて重要なこと』が重要」という話。
これは、私が考えたフレーズではなく、現在勤めている会社の社長が月例の全社ミーティングで話していた内容から来ている。
分厚くて隅々まで読んではいないけれど、スティーブン・コビー氏の「7 つの習慣」という本でも「緊急ではないが、重要なこと」に時間を割く重要性が説明されていた気がする。
対象を「緊急かどうか」と「重要かどうか」という 2 軸で分けて、四象限の図で表すと次のようになる。
図の各象限に書かれている内容には、仕事のことだけでなく、日々の生活に関する内容も取り入れてみた。
第 1 象限:「緊急」かつ「重要」なこと
「緊急」かつ「重要」なことの例としては、
- 締切に追われて、今やらないといけない仕事
- やり溜めてしまって、さすがにやらないとまずくなった家事
- 治さないといけない体調不良
などがあげられる。
進んでやりたいことではないが、やるしか選択肢がない、やらないとさらに状況が悪化してしまうといったものがここには分類される。仕事でいうと、クレーム対応や過去に起こしたミスのしわ寄せを受けるような状況に当てはまるだろう。
このような「緊急」かつ「重要」なことをなるべく少なくするコツは、日頃からコツコツと進めて締め切りに追われないようにするとか、計画や準備を前もって進めておくとか、規則正しい生活や緊急時のための時間的・体力的・精神的な余裕をキープしておくということになる。
第 3 象限:「緊急でない」かつ「重要でない」こと
第 2 象限を飛ばして、次は第 3 象限の「緊急でない」かつ「重要でない」ものを見ていく。
これは、緊急でも重要でもないので、ざっくりと言えばどうでも良いこと、無駄な時間、(リラックスの目的ではなく)惰性で過ごす時間ということになる。
「緊急でない」かつ「重要でない」ものは、なるべく削って、もっと重要なこと、もっと自分がやりたいことにフォーカスできるようにすると良い。
第 4 象限:「緊急」だが「重要でない」こと
「緊急」だが「重要でない」ことというのは一見矛盾しているようでもあるが、それほど重要じゃないのになんとなくやっていること、その時々で時間や手間が取られることと言うとイメージしやすい。
形式的で大したリターンがないと分かっていながら、しないといけないので嫌々こなしている形式的な面倒事や、やらないといけないのは確かだが、それほど見返りのないミーティングのようなものが当てはまる。
このようなものは、その必要性自体を問い直してやめたり、効率化を試みたり、その中でも重要な要素に絞って集中したりする対策が必要になるだろう。
第 2 象限:「緊急」ではないが「重要」なこと
最後が第 2 象限の「緊急」ではないが「重要」なこと。これが一番重要だというのが今回の話の中心である。
緊急ではないが重要なこととは、
- 将来の自分の助けや指針になるような学習・インプット
- 第 1 象限の緊急事態の対策になるような準備や計画
- 体調不良にならないための、日頃からの健康管理や節制・心身のリラックス
- 家族・恋人、友人と過ごす時間
などがあげられる。
第 1 象限のような緊急事態にならないための対策的な意味がある他、目の前のリターンよりも先を見据えた行動やその準備、インプットや学習、緊急ではないのでともすれば見過ごしてしまいそうだが、心身の健康管理や、家族・恋人、友人と過ごす時間が、一番重要だということ。
目の前のリターンや、こなすことでその場で得られる達成感、締切や他人との約束に迫られてやらざるを得ないことではなく、「緊急ではないが重要なこと」にできるだけ多くの時間や自信の能力を費やしたほうが、後から得られるリターンが結果的に大きくなるということである。
「7 つの習慣」でも説明されているくらいだし、「他人にやらされることや本当はしたくないこと、大して重要でないことではなく、自分がしたいこと、家族や友人との時間を大事にしよう」というメッセージに要約してしまえば、それほど目新しい内容ではないようにも思えるけれど、今回これを聞いてはっとしたのは、これを会社の社長が皆の前(Zoom 会議)で言ったことにも起因しているかもしれない。
「こなせばこなすほどリターンは得られる目の前の仕事ばかりではなく、少し先の未来に思いを馳せて『緊急ではないが重要なこと』にも目を向けないか?」
「日頃の準備や計画、さらにはリラックスや、同僚・チームとの連帯感の醸成も重要だよ」
と経営者の立場で、従業員に対して言えるのは素敵なことだと思った。
このサイトのリニューアルも、ある意味では「緊急ではないが重要なこと」に分類されるわけなので(もしこれが、第 3 象限の「緊急ではないし、重要でもない」つまり単なる週末の暇つぶしになるのであれば、少なくとも惰性でやっているわけでもないし、好きでやっているので、それはそれで悪くない)、やってみました、という話でした。